[後見]
2016年08月21日
解約制限付信託
信託銀行が、判断能力の低下した場合に備えるために、老人ホームの入居一時金や10万円以上の医療費等一定の必要事由が生じた場合のほかは本人でも解約できない解約制限付信託の販売を開始しています。
現在、家庭裁判所における成年後見の実務においては、後見人による被後見人の財産の横領等を可及的に防止するため、一定以上の財産を保有する場合には後見制度支援信託を設定させる運用がなされています。
後見制度支援信託も、特別に資金が必要になった場合に裁判所より指示書の発行を受けて、信託を一部解約するほかは、本人が死亡するまで解約することができない信託です。
解約制限付信託は、この後見制度支援信託の制度設計、ノウハウを応用するものといえるでしょう。
後見制度支援信託の設定には、現在専門家(弁護士、司法書士等)の関与が必要的となっており、親族の後見人がこれを設定することはできません。
解約制限付信託であれば、後見制度支援信託と同様の機能を有する信託を、判断能力低下前の本人自身が設定することになりますから、本人の意思には当然沿うことになりますし(後見制度支援信託については、本人以外の者による財産の変更という点に反発がみられます)、また、現運用における設定にかかる費用を節約することにもつながるでしょう。
藤沢法律税務FP事務所