遺言

遺言
後見事務
 生前に準備対策をとることにより、残された相続人が遺産分割や納税で苦しむことを避けられます。元気で賢明な判断ができるうちに財産承継の準備に取りかかりましょう。

 遺言書は、ご自分だけで作成しても、法律上の要件を満たしていれば有効です。
 しかし、紛失・毀損や不備による無効のおそれがあります。
 そのようなおそれのない公正証書によることをおすすめします(公正証書の方が相続発生後の手続もスムーズです)。
 遺言がなかったために、残されたお子様方に不幸な遺産分割の争いが発生したということはしばしば聞かれるところかと思います(なお、相続人による協議が整うのであれば、遺言と異なる内容の遺産分割は可能です)。特に遺言が必要といえるのは、子が親の土地や建物に居住しているケースです。

 また、現在は相続時に相続人自体が相当高齢になり、その事理弁識能力に問題が生じているケースも少なくありません。
 そうすると遺産分割にあたって成年後見人を選任する必要性が生じますが、その場合、本人の利益保護の観点から法定相続分を大幅に割り込むような遺産分割はできなくなり、柔軟な遺産分割に支障を来すことになります。
 このような観点からも相続人間の実情に見合った財産承継がなされるよう遺言を作成するようにすべきといえます。 
遺言書案作成(公正証書嘱託手続含む) 手数料 55,000円(税込)〜
(必要な書類等の収集も合わせて行います。実費別。立会証人二人もご用意いたします。)
遺言の種類とそのメリット・デメリット
自筆証書遺言  遺言者自身が、遺言全文、日付、氏名を自書し、押印することで成立します。
 簡便ですが、紛失・毀損や不備により無効となるおそれがあります。
 また、相続発生後、裁判所の検認の手続を経た後でなければ執行できません。
公正証書遺言  公証役場にて、証人二人の立会の下、公証人が遺言者から遺言内容を確認して作成します。
 手続は厳格ですが、紛失や方式不備による無効のおそれはありません。
 また、相続発生後、検認手続を経ることなく、直ちに執行できます。
 なお、公証人に出張してもらうことも可能です。
秘密証書遺言  遺言者が署名押印した遺言書を封に入れ封印して押印し、公証役場で自己の遺言書であることを証明してもらう方式の遺言です。
 方式不備による無効のおそれがあり、相続発生後の検認手続も必要です。
財産承継のための準備手順
 ・相続関係図の作成
 ・財産・債務の把握
 ・相続税の把握
 ・相続人への想いのまとめ
 ・相続税対策、財産承継の方法の検討
 ・遺言書の作成や信託の設定

質問 同居する長男に自宅を取得させる内容の遺言を残したいと考えていますが、その際、どんなことに注意する必要がありますか。
回答 遺言によれば、基本的に自由に財産を処分することができ、相続人間の実情に見合った財産処分が可能となります。
ただ、配偶者、子などの一定の相続人には遺留分があり、これを侵害する遺言(財産処分)は、遺留分権利者の遺留分減殺請求権によって、その効力が失われます。したがって、遺言をする場合には、この遺留分に配慮した内容にしておく必要があるといえます。
なお、相続人が兄弟姉妹の場合は、遺留分はありません。
また、非上場会社の株式等の一定の財産については、生前に遺留分算定財産から除外することを合意する制度があります。
質問 生命保険に加入しておくと、相続に関して有利と聞きましたが。
回答 被相続人が保険料を負担したことにより相続人である受取人が受領する死亡保険金は、現在、法定相続人の数×500万円が相続税の非課税財産となります。
したがって、その意味では相続税の節税対策になり、確かに有利と言えます。
また、相続人の納税資金を確保させたり、代償分割のための交付金の準備等相続人間の遺産分割対策にも活用することができます。
ただ、一人の相続人に極端に偏ったかたちで死亡保険金を取得させるような実質的な遺産配分を行うと、特別受益(遺産分割算定の基礎とされる贈与)に準じて扱われる場合もあるので、注意が必要です。
質問 私と妻の間には子供がいません。私の死後、財産は妻に与えたいと思っていますが、妻の死後は甥に財産を与えたいと思っています。このような遺言は可能でしょうか。
回答 遺言では、妻が承継する財産に関し妻の死後の財産処分に言及しても、法的効力はありません。
しかし、信託を行えば、妻の死後の財産承継についても指定することができます。
信託とは、契約や遺言等の信託行為により、形式的には財産を第三者である受託者に移転し、信託の目的に従って当該財産を管理等させ、実質的に受益者に当該財産による経済的利益を享受させる法律行為です。
信託においては、一定の制約(受益者連続型信託では30年等)はあるものの、かなり自由に様々な内容の財産処分行為を設定することができます。
また信託では、受益者が実質的にその財産から経済的利益を享受しますから、原則として、課税上も受益者が当該財産を有するものとして扱われます。
 農地に関する相続税を減免する制度について教えて下さい。
 個人会社の株式に関する相続税を減免する制度について教えて下さい。
※上記のような農地等の相続税の納税猶予制度を利用するには相続税の申告までに遺産分割が済んでいる必要があります。遺産分割が早期に整わないおそれもあることを考慮すれば、遺言により相続人を確定させておくことも検討すべきでしょう。
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