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2015年06月07日 [不動産]

換価分割と譲渡所得

Q 相続財産である不動産を換価分割した場合の譲渡所得の申告はどのようになりますか。

A @換価時に換価代金の取得割合が確定している場合と、換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず後日分割された(取得割合が確定された)場合とで分けて考える必要があります。

@ 換価時に換価代金の取得割合が確定している場合
 この場合には、
 ア 換価代金を後日遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がないため相続人が各法定相続分に応じて換価代金を取得することとなる場合と、
 イ あらかじめ換価時までに換価代金の取得割合を定めている(分割済)場合とがあります。
 アの場合は、各相続人が換価遺産に有する所有割合である法定相続分で換価したのですから、その譲渡所得は、所有割合(=法定相続分)に応じて申告することとなります。
 イの場合は、換価代金の取得割合を定めることは、換価遺産の所有割合について換価代金の取得割合と同じ割合とすることを定めることにほかならず、各相続人は換価代金の取得割合と同じ所有割合で換価したのですから、その譲渡所得は、換価遺産の所有割合(=換価代金の取得割合)に応じて申告することになります。

A 換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず、後日分割される場合
 遺産分割審判における換価分割の場合や換価代金を遺産分割の対象に含める合意をするなど特別の事情がある場合に、換価後に換価代金を分割したとしても、a 譲渡所得に対する課税はその資産が所有者の手を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税するものであり、その収入すべき時期は、資産の引渡しがあった日によるものとされていること、b 相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属し、その共有状態にある遺産を共同相続人が換価した事実が無くなるものではないこと、c 遺産分割の対象は換価した遺産ではなく、換価により得た代金であることから、譲渡所得は換価時における換価遺産の所有割合(=法定相続分)により申告することになります。
 ただし、所得税の確定申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、その申告は認められます。
 しかし、申告期限までに換価代金の分割が行われていない場合には、法定相続分により申告することとなりますが、法定相続分により申告した後にその換価代金が分割されたとしても、法定相続分による譲渡に異動が生じるものではありませんから、更正の請求等をすることはできません。
(国税庁の質疑応答事例参照)


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